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「商標パラリーガルの裏話」 2010年3月

  • 始めまして、私は星川伸と申します。 なにかの縁でしょうか、1992年に初めて商標関係の仕事をはじめ、当初は外国商標担当として5年ほど大阪の特許事務所で働きました。 その後、まだ若かったためと思いますが、米国の法律事務所で商標関係の仕事にチャレンジして見たいという希望に燃えたため、1997年に Seattle の総合法律事務所で晴れて商標パラリーガルとして働く機会に恵まれました。 ところが、日本と違い、米国の法律事務所というのは、いわゆる「時間請求」という制度でがんじがらめになっており、私も例外なく、毎日「Billable Hours」ブルースに悩まされることになりました。
  • 何と言っても、理解ができなかったのは、お客様に対して良い仕事をしたいと言う希望で作業をすればするほど、そのお客様への請求額が増え続けるというものでした。 こんなことは日本では絶対にありえないことでした。 当初は時間請求120ドルあたりでしたが、今では245ドル (2014年には265ドル) にもなり、如何に満足できる仕事を適度の請求額で処理できるのか、というのが毎日の戦いです。
  • そんな状況にありながら、普通の米国の一般法律事務所というのは、訴訟部門の請求方式を、他の法律分野の作業に当てはめる傾向が強いようです。 そのために、知的財産関係を専門にする特許商標事務所と比べて、総合法律事務所というのは、あらゆる面で、事務所のインフラというかその制度に不備があるようです。
  • 特に商標作業というのは、大体の相場が決まっているものですから、やたらに時間がかかったからといってむやみに請求することはできません -  これは私の考えですが、他のパラリーガルの中にはそのような事を考慮に入れない者もいます。 費やした時間をみっちり作業記録に記載する者も多いようです。 それもそのはず、一般的には商標関係のパラリーガルは年間に1300時間から1450時間ほどの請求額があることを要求されます。 この時間によってそれぞれの成績が決定されるわけです。 時間が少ないと昇給はないし、また昇給があっても雀の涙ほどの額で、ボーナスなどは支給されません。 そのため、皆は一定の時間目標に近づくために、毎日せっせと請求作業をするわけです。 日本人から見るとなんともいやな制度だなと思います。 良い仕事をしたいと思えば請求額が増えるため、問題にならない程度に手を抜いて、適当なところで作業を終了させるというのが、お客に喜ばれる秘訣なのです。
  • そのような問題を解決するために、今働いている事務所では、知的財産関係の部門で最近フラット請求方式(Fixed Fee Schedule)を取り入れました。 この方式では、作業時間に関係なく、一定の金額のみが顧客に請求されるため、思った以上に高くついたという顧客の苦情は減る事になりました。 ただし、内部的には、作業時間をフラット方式で換算して時間オーバーになれは、そのパラリ-ガルの請求額と顧客支払い額との比率が下がることになり、これまた問題になります。 いずれにしても、我々パラリーガルは悲しい立場なのです。 こんなことならいっそう時間請求しなくてもいい秘書に成り代わった方がマシかも知れません。 この場で愚痴を言うためにこのようなサイトを設けたのではありませんが、米国でのパラーリーガルの裏話もたまには面白いのではないでしょうか?
  • 前書きが長くなりましたが、日本での5年の経験と米国での17年の経験を生かして、このたび、日本の商標権者の方々のために、簡単で安上がりな米国商標登録出願のお手伝いができたら心から満足できるものと思い、このような Web Site を2010年に立ち上げました。

  • その日から早10年が経ちました。その間、2014年の7月に長年勤めたSeattleの事務所を退所して、その8月に東京の某外資系商標事務所に所属し、そのまま横浜のある某自動車会社へSecondeeとして2014年8月から2019年8月までの5年間勤務しました。その後は東京事務所へ戻り、引き続き某自動車会社の商標担当をしましたが、2020年4月に作業の収束と、COVID19の影響で商標パラリーガル業務に終止符を打つことにしました。また、それと同時に米国に残していた我が家も売却し、晴れて年金生活者として余生を過ごすことになりました。そんな訳で、横浜では出来なかった趣味の再活動も可能になるのではないかと楽しみにしています。しかしながら、米国商標情報については今後も引き続き収集し、必要な情報を随時提供できるように頑張って行きたいと思います。
  • 星川 伸
    本籍・住所: 大阪府岸和田市
    米国住所: Issaquah, WA, U.S.A.
    現住所:長野県上水内郡信濃町野尻
    Email:  → shin@pl510er.com

  • 2020 - 長野県の信濃町へ疎開/移住11月
    2020 - 東京HL事務所退所4月末日
    2019 - 現在に至る(横浜在住)
    2014 - 東京HL事務所入所8月
    2014 - G&D法律事務所辞職7月・家族と帰国
    1999 - Seattle G&D法律事務所転勤
    1997 - 家族そろって渡米、Seattle PC法律事務所勤務
    1992 - 家族そろって帰国、特許事務所就職
    1985 - 映像制作活動
    1980 - 再渡米、永住、就職
    1978 - UW 卒業、帰国、就職、映像制作勤務
    1975 - アラスカ・アルバイト、SCC卒業、UW 進学
    1972 - 渡米、Shoreline Community College 入学
    1970 - 浪人生活、大学受験
    1960 - 浜寺水練学校で水泳訓練受ける
    1949 - 岸和田市で長男として誕生


    改訂- 2020年4月(Yokohama, JP)
                 2015年3月(Yokohama, JP)
                 2010年3月(Bellevue, WA)