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Sep262010

パラリーガル・ショップトーク


このページでは、米国商標登録出願実務や外国商標を含めて、気が付いたことを書き留めてみます。

 

2022年8月25日

  • いや~、この2年間にも米国商標関連規則の改定がどんどん進んでおり、もはや昔の「出願人の良識ある」行動を基本にするのではなく、出願人は不正を働くと言う前提から出願人及びその代理人の資格や資質を求める情報提供が次から次へと求められるようになりました。もはや米国以外の出願人は、全てを米国の承認された商標弁護士を通さなければ何もできない状態になってしまいました。これもひとえに某国の節度のない不正行為のなす故の結果であるのは明らかでしょう。

    それと同時に、各種の審査基準や様々な手続きに関する改定がどんどん進んでおります。米国以外の者にとってはその状況を随時追いかける事はしなくても良いかも知れませんが、現地の代理人等はそれらの変更について徹底的に追跡して覚えて行かなければならず、追い付けなければ不要な補正指令や拒絶通知が出てしまうので、なんと非効率的な作業になるのか現役の方のつらさが実感できます。それでも良識ある代理人は顧客に請求できない作業が増えてしまい当惑しているハズですが、心のない代理人はどんどん日本の出願人に請求してくる事でしょう。場合によっては自分達の間違いによる余計な費用までも、なに知らぬ顔をして請求してくる輩もいますのでご注意下さい。なにせ、米国の代理人は全て「請求時間」にがんじがらめに縛られていますので、、、。請求時間至上主義とは本当に恐ろしいものですよ。

2020年4月25日

  • コロナ・ウイルスの関係で、多くの人々が自宅待機やテレワークを余儀なくされていると思います。本当に前代未聞の状況ですが、皆様のご健康をお祈り致します。当方も、今年で71歳になるため、今の時点では感染することだけは避けたいと思っています。また年齢的にも、かなり死亡率が高いグループに入りますので人一倍注意を払っています。

  • さて、それとは別にコロナ・ウイルスが蔓延するような速度で、米国商標審査基準が改訂されており、規則の変更点を把握するのは容易ではありません。

    ところで、今、米国商標庁が最も力を入れてやっている事は、登録維持するために提出する使用宣誓書とその使用証明の精査です。あまりにも多くの海外商標権利者が米国商標法を無視して、現実に米国で使用していない商標もしくは使用する意思のない商標を、日本を初めとする登録主義国の常識をそのまま米国に当てはめて登録している状況が数多く存在致します。そのために、庁は今回は本腰を入れて、それらの摘発と登録簿からの削除を積極的に展開しているわけです。そのような状況ですので、日本の商標権者の皆様は登録主義国の考え方を捨てて、本来の米国の使用主義が何であるかを肝に銘じて対応していく事が必要ではないかと思います。筆者は長年、このような状況を危惧しておりましたが、ようやくその時期がコロナと共にやってきたのかと実感しております。

  • また、庁が完全電子出願に移行したために、出願人・権利者の電子メール・アドレスの提供が義務付けられるようになりました。これは、現地代理人の電子メールと同一でない限りは、如何なるアドレスでも差し支えありませんが、庁が権利者と直接に接触ができるアドレスである必要があります。つまり現地弁護士が権利者を代理することを辞退した時に供えて配慮したものです。これにより、連絡は通常の郵便物ではなく全て電子メール通知となりました。

  • 最後に、上記とは別に所謂「使用証明」についても、より厳しい基準で審査することも始めているようです。と言いますのも、今まで認められていたラベルやタグと言ったものは、2月15日からはそれらの単体の写真のみではなく、タグやラベルが付された商品が判別できるような写真を求めるようになりました。また、ネットのホーム・ページを電子的にコピーしたものや印刷したものは、その日付とURL情報が分かるような形でなければ、適切な使用見本として認められなくなりました。よって、登録以前に提出する使用見本についても、十分な注意を払う必要があります。これらの過程で失敗が続くと費用の高騰はもちろん、最悪の場合は出願や登録が失効する要因となりますので、慎重に対応して頂きたいと思います。

2020年4月10日

  • 筆者は昨年に70歳になったものの、もう少し某外資系商標事務所で働く予定でした。しかし残念ながらコロナ・ウイルスの関係か、筆者の仕事の見直しが海外本部から入り、ならば年金生活者クラブに加入するための良い潮時なのかと思い、退職届けを出すこともなく本部通知から3日後に離職することになりました。このような形で退職したのは生まれて始めてでしたが、横浜から東京への通勤地獄と一日中のパソコン作業から開放されるのは素晴らしい事でした。

2019年7月20日

  • 少し前にご案内致しましたが、今までは米国以外の海外の商標権利者でも、自身による出願(Pro Se Applicant)は認められておりましたが、今年の8月1日から、そのような出願は不可となり、全ての海外の商標権利者は、米国で弁護士資格を有している代理人(米国在住もしくは海外在住も可)を使わなければならなくなりました。もちろん、米国内の商標権利者は、今までどおりに自身による出願が可能であります。思うに、これもアメリカの利益を優先する展開のようですがどうでしょうかね?

    使用証明についても、複数の商標使用見本を提出する必要がこれからどんどん増えて行く中で、これは不正を未然に防ぐ事につながるために悪くはないと思いますが、そのような補正指令が出るという事は、一回で数百ドルの費用の負担が出願人もしくは権利者に求められので、費用の点からは注意する必要があると思います。いずれにしても、米国の商標弁護士事務所の時間請求額は世界でも一番高いので、これは歓迎できるものではないと思います。とは言いながら、米国で現役で働いていた時には、必ず最低でも3個の商標使用見本を提出していたので、事前に数点の見本を提出することを心がけておれば、特に問題にはならないと思います。

2018年2月10日

  • ご存知の通り、米国では登録後の5年から6年間・もしくは更新時に8条宣誓 (マド・プロの場合は71条宣誓) を提出する義務があるのですが、昔は、その関連で使用証明はクラス毎に一つだけで十分でしたが、最近になって米国商標庁は8条宣誓の使用証明について、抜き打ちで使用証明を提出した権利者に対して、少なくともクラス毎に追加の二つの使用証明を提出するように求めているようです。この指令を満たすことができなければ、対象の商品・役務のみならず、その他にも継続して商標が使用されていない商品・役務があれば、それらを登録から削除しなければならない羽目になります。この抜き打ち検査は当初は1割の8条宣誓について行われる予定でしたが、今では毎年5千件の登録が抜き打ち検査の対象となっています。実際に、筆者の知り合いの商標弁護士が提出した8条宣誓に関して、そのような指令が送達されたようです。
  • このような指令が出ると、必ずと言って弁護士費用が増えることになり、そうなれば当初の見積もりのおよそ倍ほどになってしまうのではないかと危惧されます。追加の使用証明の提出は特に問題がないのですが、その指令に対応する手間と時間が費用を押し上げてしまうことにもなり、それだけではなく2020年の夏には、8条(71条)宣誓書の提出後、Office Action が出て追加の使用見本の提出を求められ、それらについての見本の提出が不可のために、それらを登録から削除する羽目になった場合には、一点の商品・役務について$100の罰則金を支払う事になりそうです。と言う事は、日本式の考え方で使う予定のない商品・役務を「わんさか」と登録している日本の典型的な権利者については、8条(71条)宣誓を提出する時に、前もって米国で販売・提供していない商品・役務を全て削除しないで提出するようなミスを犯せば、たとえば100点に上る商品・役務について使用証拠が提出できなくて削除する場合には、100万円の罰則金を支払う事になります。これを喜んで支払う気にはなりませんね。夏の審査基準の改正をしっかりと追っていく必要があります。確認ができれば直ちにこのサイトでも報告します。

2017年12月17日

  • 横浜に住み始めて、早くも3年半が経ちました。所属する東京のHL事務所での当初の話では、某自動車会社での作業は2年ほどで終了すると聞いていましたが、少しずれ込んでいるようです。とにかく、ブラジルやベネズエラ、インドの案件は長期戦となるので、この先少なくとも5年以上は必要となるでしょう。また、タイやインドネシアでは、拒絶対応策が非常に限られているので、拒絶を受けた案件については、登録証を手に入れるのは容易なことではないようです。ところで個人的な意見ですが、登録が困難で時間がかかる最悪の国は、なんと言ってもベネズエラとタイでしょうかね。ブラジルとインドは審査が遅いけれど、類似商標が引用されても、最終的には登録になるケースが多いようで、その点はやり易いかも知れません。

  • さて3年半前に日本に帰国してから、米国出願を直接扱う機会が皆無でしたが、その間に、出願方法にも少し変更点があり、少し面をくらうこともあります。しかし、基本的にはそれほど大幅に変わっている訳ではないようで一安心です。やはり、後進国の商標を扱うと米国商標が恋しくなります。とにかく後進国の商標は、指定商品や役務記載方法に非常に問題があり、特に、最近になって、中国やサウジアラビアと言った国では、WIPOで出している商品・役務記載しか認めない方針なので、実際の市場で出願人が販売・提供する商品・役務を指定できないと言った、本当にバカげたことが発生しています。兎に角「米国の商品・役務記載を見習って頂戴」と言いたくなりますね。そう言えば、どこかの国でも、婦人服店や食料品店などの小売業をそのように記載できないそうですね。これは本当なのですかね。まあ、1992年までは、サービス・マークなど存在しないと世間をバカにしてきた特許庁があるようですね。反面、米国商標庁は1947年に既にサービス・マーク登録制度を導入していたのだから、なんと進んでいたのか驚きですね。まあ、別に米国を褒めるわけではないけれど(最近の米国は最低ですよ)、政府機関の柔軟な頭には敬意を評するべきですね。だから、昔は米国が大好きだったのですが、今はなんと情けない国になってしまったのか、もう昔のように尊敬する国ではないですね。考えてみると、丁度いい時期に米国から脱出したのだろうかと自分でも不思議に感じます。

2015年3月15日

  • 横浜に落ち着いてから約6ヶ月がすぎました。その間、ある自動車会社のコンサルタントとして、毎日、北米、中南米とアジア地域の商標登録出願に関する拒絶通知の対応作業に従事しています。 米国とは違い、中南米やアジア諸国の庁の審査実態基準はそれほど高くないためか、納得のゆかない庁指令や引例拒絶が多いようです。そういう訳で、毎日それらの対応に追われています。 しかし、今まで蓄積した経験と知識を十分活用することができるので、大変満足して作業しています。 これからも、しばらくは某自動車会社での勤務が続きます。

2014年8月26日

  • 8月15日に成田に到着しました。これから、住まいや必要なものを整えることになります。アメリカとは違い、日本で新しい生活を始めるのは簡単ではありませんでした。特に実家は大阪ですので、こちらの生活基盤がないために、住民票を取得するのが本当に大変でした。住民票がないと何も出来ないのでこれは非常に深刻でしたが、もうどうしようもなかったので、最終的には「嘘も方便」という方法で帰国後2週間後に、晴れて横浜で住民票を手に入れました。その後は、すべてとんとん拍子に必要なものが整いました。

    その後で、一番難しかったのは、光フレッツのインターンネット接続でした。と言うのは、NTT からのモデムを初期化するためには、日本語版のパソコンが必要で、英語版の PC・ラップトップ は使えなかったのです。持ってきた PC は全て英語版だったために、これには、ほとほと困ってしまいました。仕方がなかったので、友人の日本語ラップトップを持ってきてもらい、それでモデムを初期化しました。もちろん、その後の英語版 PC での設定も簡単ではありませんでした。さらに、無線 Router でも良く似た問題があり、とにかく英語版PC・ラップトップの問題で悩まされました。すべてが問題なく作動した時には大歓声をあげました。これは携帯でも同じでした。英語版の携帯に日本語テキストを入力できるようにするのも大変でしたが、一応我が家の携帯は日本語入力が可能になりました。

2014年7月10日

  • 長年、Robert C. Cumbow 弁護士の下で、商標パラ・リーガルとして17年ほど働いてきましたが、その仕事に終止符を打つことになりました。長い付き合いでしたので、事務所での最後の日は非常に複雑な気持ちに襲われました。また、準備のためにその後の1ヶ月ほどは大変忙しい日々が続きました。ただ、家や家財道具などは処分しませんでしたので、その点は楽でした。また、成人の娘がそのまま当分は家に住むので、インターネットなどは全てそのままにしているので、今までどおりにメールなどは住所を変えずに使用できています。

2013年7月21日

  • 約2年ほど前に、出願番号のシリーズ・コードについてお話いたしましたが、つい最近まで使っていた「85」シリーズがついに使用済みになり、この7月1日に、始めて「86」シリーズが使われ始めました。「86000001」は7月1日午後4時ごろに(西海岸時間)出願されています。 これは、約3年間に100万件近くの出願が申請されたことになります。 これで、当分の間は、米国商標庁は、優先日を考慮する場合は「86」の電子出願が、他の出願分よりも有利になるわけです。ただし、マド・プロ出願の数は、通常の電子出願よりも出願数がかなり少ないため「86」シリーズ出願が「79」シリーズのマド・プロ出願番号に追いつくのは、4、5ヶ月もあれば十分ではないかと思います。 もし、何の話なのかピンとこない方は、下の2011年9月25日の情報をご覧ください。

2012年8月11日

  • 最近、指定商品・役務の表現に関してかなりの変更が実施されているので、以前に問題がなかった表現でも、新しく審査される場合には、補正指示が出ることになるので、事前にチェックするのが懸命である。 

2011年9月25日

  • 少し前の規定の変更により、最近では、デザイン商標の登録出願において、そのデザインの詳細を徹底的に説明しない限り、必ず補正命令がでるようである。

  • 次に、出願番号について興味深い情報がありますのでお話いたします。 出願番号と言えば、二桁のシリーズ番号のあとに、通し番号が表示されるものですが、考えてみると、商標の仕事を始めたころには、たしか「73」か「74」シリーズの出願番号をよく見かけたものでした。 当然ながら、使用されたシリーズ番号は必ず一種のみで、全ては簡単なものでした。 ちなみに、10年ほど前に電子出願が始まったころには、使われていたシリーズは「76」でした。

    ところが、電子出願には、新しい「78」シリーズを利用したために、それから混乱が発生したようです。 その後、「78」のシリーズが使用済みになったときには、その次に「77」のシリーズを使いはじめました。 また、このころには、新しいマド・プロ制度が実施されることになり、その出願には「79」のシリーズを使用することになりました。 

    さて、俗に「Paper Filing」で、原本を送付して出願する非電子出願は、全くなくなってはおりませんので、当時の「76」シリーズはまだ現役で使用されております。 ちなみに、今年の3月24日付けで、706,000番目の出願が記録されているようです。 さて、数年前に始まったマド・プロ出願は、同じ3月24日付けで、99,000番目の出願が記録されております。 ただし、現在の電子出願では、「78」や「77」シリーズはもはや使用済みで、今は「85」シリーズが使用されており、3月24日ごろで、275,000番目の出願が記録されております。 よって、現時点では「76」「79」と「85」の3種の出願シリーズが現役で使用されていることがお分かりいただけると思います。 まあ、複雑かもしれないが、それがどうしたのかとお思いの方は、大事な点を見過していることになります。

  • ご存知の通り、出願番号とは、そもそも、出願に番号を与えるものであるが、同時に、仮にそれらの出願で、出願日が同一であり(PTO では受理時間までは考慮しない)商標と商品・役務の関係で抵触があるとされ場合には、いずれかに優先順序を与えるためにも利用されるものです。 では、このように現存するシリーズが3種もあるときには、どのようにして優先順序を決定するのでしょうか? さて、規定によると、シリーズ番号に関係なく、その後に来る「通し番号」が低いほど優先権があるとされるものです。 ということは、現状では、必ず、マド・プロ出願が一番優先権があることになります。ところが、現行の電子出願シリーズ「85」が使用済みになり、新しいシリーズに移行した時点で、電子出願が誰よりも優先順序があるとされる状況が近い将来必ず発生いたします。「76」の非電子出願はそのシリーズが使用済みになるまでは、今後相当に時間がかかると想定されますので、現在の時点では、一番優先順序が低いままで我慢するしかないようです。 もしかすると、使用済みになる前に、このシリーズは廃止される可能性がないとは言えません。 いずれにしても、出願番号による優先順位を決定するのは、絶えず「同じ状況の下で判断されるものではない」と言う事が、実に興味深いことであります。 日本や諸外国ではどのように扱っているのか少し気になります。

2010年9月26日

  • 出願番号のシリーズが「77」から「85」への変更(これは既に数ヶ月ほど前からそうなっています)。

  • 公告通知、登録許可通知、使用証明提出期限延長許可通知や使用証明受理通知は電子メール通知に移行中。

  • 8条・15条宣誓許可通知や更新許可通知は、電子メールによる通知に移行したもよう。

  • 簡単な形式補正は、審査官があらかじめ電子メールで担当弁護士に連絡を入れることが増えている。

  • 類似審査に関して、ワインの出願に対してレストランの商標との抵触が増えつつある。

  • Section 44(d) の出願で、本国登録が未提出でも審査の一時停止ではなく公告に持って行く審査官がかなり増えている。

  • TEAS出願では、Pre-Approved 表現を使用しない場合、指定商品の補正命令がほぼ100%発令される。

  • しかしTEAS-PLUSでは、Pre-Approved 表現を使用するため、指定商品の問題は100%回避される。
  • TEAS-Plus 用の新しい指定商品・役務の表現は、USPTOに提案する事で、許可してもらうことが可能である。

  • 最近、指定商品・役務の表現に関してかなりの変更が実施されているので、以前に問題がなかった表現でも、新しく審査される場合には、補正指示が出ることになるので、事前にチェックするのが懸命である。 

    End